角型ハンガー・ゲルマラジオ

角型ハンガー・ゲルマラジオ
ループアンテナが2つ折りできるゲルマラジオです。

ループアンテナを使用したゲルマラジオは、外部アンテナとアースを準備する必要が無いことから、受信場所が固定されず、どこでも移動して受信できる利点があります。 ゲルマラジオにおけるループアンテナは、一般にコイルの断面積が大きいほど、コイルの巻き数が多いほど、ゲルマラジオの感度、音量が向上します。 そのため、持ち運びが便利なように、ループアンテナを小さくすると、感度、音量が犠牲になります。 つまり、受信時は大きく、持ち運びでは小さくなるようなループアンテナがあれば理想的です。 今回は、感度・音量を維持しながら、持ち運びの容易さを求め、折り畳み可能なループアンテナでゲルマラジオを試作します。

2つ折り可能なループアンテナの枠

さて、廃品や100円ショップで商品などを見ていると、つい「同調コイルを巻くための筒や枠として利用できないかな〜?」と思ってしまった、あなた! 立派なゲルマラジオ・マニアの証拠です(笑)。 そんな(!?)管理人CRLが着目したのは、折り畳み式の角型物干しハンガーです。

最も工作に適しているハンガーを選ぶため、地元のDIY店など色々と見て回った結果、100円ショップで売られていた315円の商品を購入しました。 大きさは約75×37cmで、洗濯ばさみが48個付いたハンガーです。 材質はポリプロピレンであるため、過度な強度は期待できませんが、加工も容易ですし、軽いので良しとします。

購入した角ハンガー
購入したハンガーには「取扱い上のご注意」が表示されており、
「洗濯物干しの用途以外には使用しないでください」とのこと。
購入した角ハンガー
試作前に、ちょっと吊るしてみました。
グリップ、チェーン、洗濯バサミは別途利用しましょう。

まず、洗濯バサミなどを全て取り外し、ポリバリコンを取り付けるため3個所に穴(回転軸と固定ビス用2個)を開けます。 ループアンテナの電線ですが、柔軟性と重量を考慮して、AWG24のコードで巻くことにしました。 ハンガーの枠にある穴を活用して、100円ショップで購入した結束バンド(約2.5×150mm、60本入)を使い、コードを巻いていきます。 コイルの巻き数ですが、15巻では478μH、14巻では414μH、13巻では357μHとなりました。 265pFのバリコンと組み合わせたいので、13巻にしました。 イヤホンジャックの固定は初めから枠に開いている穴を利用します。 ダイオードは、ポリバリコンとイヤホンジャックの間を空中配線します。

角型ハンガー・ゲルマラジオを開いた表側
角型ハンガー・ゲルマラジオを開いた状態。少し不安定ですが自立可能。
角型ハンガー・ゲルマラジオを開いた裏側
角型ハンガー・ゲルマラジオの裏側もスッキリしています。
被覆の色は枠と同じ黄色を選んだので、目立ちません。
角型ハンガー・ゲルマラジオの裏面
枠の形状に沿ってコイルを巻いています。
枠の強度を保つための仕切り部分は、切除していません。
角型ハンガー・ゲルマラジオの配線状況
ポリバリコンは端子の位置を考慮して、固定位置を決めました。
ゲルマニウムダイオードは、イヤホンジャックとポリバリコンの間を空中配線しています。
角型ハンガー・ゲルマラジオのループアンテナ
折り畳み部の付近は、枠に約8mmの穴を空けて電線を通過させています。
折り畳んだ角型ハンガー・ゲルマラジオ
折りたたんだ様子。ちなみに、この状態のインダクタンスは約140μHでした。
枠の外にはみ出した電線
枠の外にはみ出した電線の中央には、電線が散らばらないよう、結束バンドで固定。
角型ハンガー・ゲルマラジオの操作部
イヤホンジャックは、枠に開いていた穴を利用して固定。

角型ハンガー・ゲルマラジオの回路は、特に変わったものではなく、基本的な構造のものです。受信性能は、主にループアンテナの規格で大きく左右されるのですが、断面積で考えれば、概ね50cm角のループアンテナのゲルマラジオと同じです。この試作品の場合、折り畳むと約37cm角ですから、劇的なサイズダウンとは言えないですか・・・・まぁ、37cm角のループアンテナより性能が高いと納得しておきましよう。枠の内側に、ひし形の枠があるので、ここに2次コイルを巻いてイヤホンを駆動させてみるのも、面白いかもしれません。

角型ハンガー・ゲルマラジオの回路図