ゲルマラジオに適したオーディオ用ヘッドホン探索

現在、ゲルマラジオの受話器(音響を得る部品)と言えば、セラミックイヤホンが定番でしょう。 セラミックイヤホンは出力が微弱なゲルマラジオの音を聞くことができますが、再生音域が限られており、音質が良いとは言えません。 また、セラミックイヤホンはいわゆる「耳栓式」ですが、この耳栓の大きさに不快感を持つ人もいるようです。

これらのセラミックイヤホンが持つ問題を解決する方法の1つとして、オーディオ用ヘッドホンを使うことが考えられます。 オーディオ用ヘッドホンを使うことができれば、音質の向上が期待できますし、装着感もセラミックイヤホンより改善されるでしょう。

では、ゲルマラジオに適したオーディオ用ヘッドホンとして、どのようなものを選択すればよいのでしょうか。 音質や装着感も大事ですが、ゲルマラジオの出力は微弱ですから、ヘッドホンの音圧感度は重要です。 より音圧感度の高いヘッドホンを持っていれば、ゲルマラジオを大音量&高音質(セラミックイヤホン比)で楽しめるのではないか?と思い始めたら、1つ欲しくなってきました(笑)。

音圧感度の高いヘッドホンを探す

ゲルマラジオに適したオーディオ用ヘッドホンを探してみました。今回お世話になったのは「価格.com」のヘッドホン・イヤホン スペック検索(http://kakaku.com/specsearch/2046/)です。4,000個以上のヘッドホンが登録されており、情報量は潤沢と言えます(2014年3月現在)。

どのような音圧感度のヘッドホンが購入できるのか、ヘッドホン装着方式別に確認してみました。 110dB以上は、全体の10〜15%しかありません。 音圧感度の最高値として、オーバーヘッドは129dB、カナル型は125dB、インナーイヤー型は127dBの商品が確認できました。

ヘッドホン装着方式別の音圧感度の分布

さて、検索結果を見ながら、どのヘッドホンを購入しようか悩んだのですが・・・ 音圧感度が高いヘッドホンには、ノイズキャンセリング機能で電源を必要とするものや、マイク、リモコンといった不要な機能を有した製品が意外と多いです。 また、とても高価であったり、海外製で販売店が限られている製品、販売が終わり価格情報が掲載されていない製品も確認されます。 現行機種で音圧感度はできるだけ高く、不要な機能を持たず、安価である等を勘案した結果、今回の購入はオーム電機製のオーバーヘッドにしました。

聴き比べるヘッドホンの諸元について

音圧感度の違いが実感できるのか、聴き比べてみます。 今回購入したHP-H745Kはネット通販を利用しました。 RP-HT260は2年ほど前に家電小売店で購入し、当時は2000円以上しました。 それと100円ショップで見かけたヘッドホンも聴き比べの対象として購入しました。 駆動方式と公称インピーダンスは、いずれも同じです。

型番メーカー駆動方式インピーダンス最大許容入力音圧感度購入価格
HP-H745Kオーム電機ダイナミック型32Ω100mW114dB2000円以下
RP-HT260パナソニックダイナミック型32Ω1000mW102dB2000円以下
E001(electrica)ダイソーダイナミック型32Ω500mW79.3±3dB105円

大半のオーディオ用ヘッドホンはローインピーダンスであるのに対し、ゲルマラジオの出力はハイインピーダンスです。 このため、インピーダンス変換(インピーダンスマッチング)を行うため、トランスの使用が必要になります。 トランス切替BOXループアンテナを使用したゲルマラジオ(大型密巻き、0.63m×0.63m、7回巻き)に接続して試聴します。

確かに音量は違います

ヘッドホンのドライバーユニットは左右を並列とします。最も音量が大きくなるトランスの組み合わせは、ST-81にST-16又はST-12の組み合わせでした。

HP-H745K
 HP-H745K
RP-HT260
 RP-HT260
E001(electrica)
 E001(electrica)

まず、E001ですが、セラミックイヤホンより音量が劣ります。 本体価格100円で、よくここまで作れると感心させられますが、ゲルマラジオには適しません。 スピーカーがガンガン鳴る様な強電界であれば、セラミックイヤホンより安いコストパフォーマンスから、再考の余地があるかもしれません。 重量が軽いのは良いのですが、耳にフィットしにくいため、装着感はあまり満足できません。

次に、RP-HT260ですが、セラミックイヤホンより聴きやすいです。 イヤホンと同等な音量が両耳で聞けるので、周囲の音に邪魔されにくく、聴取しやすくなります。 音質はイヤホンのような高音偏りの強さが無くなり、中音域を中心とした感じになります。 装着は耳介の周囲をイヤーパッドが接触するタイプで、耳介に圧迫感を受けません。

そして、HP-H745Kですが、音量は若干ながら、RP-HT260より大きいです。 この音量の差は相互に聴き比べて、初めて分かる程度です。 でも一度、その違いに気付くと、RP-HT260では聞き取れない些細な音も再生していることが分かります。 装着はイヤーパッドが耳介を押しつけるように接触するタイプです。


HP-H745K
 HP-H745K
RP-HT260
 RP-HT260
E001(electrica)
 E001(electrica)

ゲルマラジオ用にヘッドホンを買い足すならば

管理人の主観ですが、音圧感度が100dB台のヘッドホンを既に所有しているのであれば、とりあえず、これで満足しても良いでしょう。 10dB程度の違いで音量に僅かな差を認識できますが、この差に価値を見いだせないと、出費したことを後悔する可能性は高いです。 さすがに20dB程度も違うと、音量の差も明確になってきます。 ゲルマラジオ用にヘッドホンを買い足すならば、現有品より20dB程度以上、音圧感度の高い製品を購入すれば、その違いに満足できる確率が高いと思います。