ゲルマラジオの構造

ゲルマラジオの構造は、アンテナ回路、同調回路、検波回路、出力回路の4つで構成されています。
ゲルマラジオの構成
ゲルマラジオの構成

アンテナ回路は、空中を伝わってきた電波をキャッチします。

電波は金属に当たると、電流に変化しようとする性質があります。 したがって、電波(ラジオ放送)をキャッチするアンテナは金属であることが必要です。 次に、キャッチした電波の信号(電流)を、効率よくラジオ本体へ導くため(通過させるため)に、アースが必要です。 アースは地面の中に金属を埋めたものです。

同調回路は、目的の電波(ラジオ放送)を1つだけ選びます。

私たちの上空には、色々な周波数の電波が飛び交っています。 そこで、1つの電波だけを選ぶ同調回路は、コンデンサー、コイルと呼ばれる2つの部品を使います。 コンデンサーは周波数の高い電流を通しやすい性質があります。 逆に、コイルは周波数の低い電流を通しやすい性質があります。 この2つの部品を組み合わせると、丁度折り合いのある1つの周波数だけ選ぶことができるのです。 さらに、コンデンサー又はコイルいずれかについて、電気的な特性を変化させると、選ぶ周波数も変化します(ラジオ放送が選局できるようになります)。

検波回路は、電波から音声信号を取り出します。

AMラジオの電波は、波の大きさ(信号の大きさ)によって音声信号を表現しています。 また、波であるため、同調回路にはプラスとマイナスの電圧が交互に発生しています。 プラスとマイナスを全て合わせると、打ち消しあってゼロになります。 そこで、プラスだけ(又はマイナスだけ)の信号を取り出し、音声信号化する必要があります。 この機能を担当する部品を検波器と呼びます。 検波器として使われる部品には、ゲルマニウムダイオードなどがあります。

なお、受信状況によっては、抵抗器を併用することで、音声のひずみを減らしたり、音量が向上する場合があります。

出力回路は、音声信号で音を鳴らします。

電波の信号は空間を伝わってきたので、その距離が長いほど、電波は弱くなっています。 当然、取り出された音声信号も弱いままです。 ゲルマラジオでは、弱い音声信号でも効率よく音に変化させる必要があります。 このための部品として、クリスタルイヤホンが使われます。

オーディオ用のヘッドホンやスピーカー、マグネチック式のイヤホンは、大きな音声信号が必要なため、簡単には鳴ってくれません。


以上、アンテナとアースのほか、わずか数個の電子部品だけで、ゲルマラジオは構成されているのです。次のページから、個別に内容を掘り下げて説明を追加していきます。

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