短波ゲルマラジオ

短波ゲルマラジオ
短波ゲルマラジオ。実は就寝用の試作品。

管理人CRLは普段、ループアンテナ型のゲルマラジオでAMを聞きながら就寝しています。 地方では受信できる局も限られ、大体聞くのは某局某番組と決まっています。 普段はこれで問題ないのですが、就寝時間がズレて興味の無い番組内容だったりすると、選局の余地がありません。 この時ばかりは「短波放送でも聞こうかな」と思ったりします。

しかし、多バンド化で短波を受信できるゲルマラジオは製作済みですが、就寝時には聞いていないのが現状です。 AM(中波放送)は安定した受信が可能なので、選局は一度だけで良いのですが、夜間におけるSW(短波放送)では、フェージングの周期も不安定なため、聞こえる放送局に次々とダイヤルしてしまうのです(←管理人の癖です。ご容赦を)。 このため、SWを受信しようと、既存のゲルマラジオを枕のそばに置くのですが、腕を布団から出した姿勢が続いてしまい、疲れるのです。 更に冬の時期だと、指先が冷えてしまい、じっくりとチューニングを楽しむことも出来ません。 こうなったら1台、就寝時専用の短波ゲルマラジオを試作しようと決めた次第です。 短波受信専用で、布団の中に入れても平気な構造、手ごろな大きさが試作の条件になります。

用途の優先で構成を決定

短波ゲルマラジオの回路図
短波ゲルマラジオの回路図

手ごろな大きさで、布団の中に入れて使う短波ゲルマラジオを目指し、ケースはタッパを使います。 タッパは3個で100円(容量180ml)のものです。 ケースの大きさを決めると、使用できる部品の大きさも必然的に上限が定まります。 バリコンは中波用のポリバリコン(2cm角で、公称値260pF)を流用し、同調コイルの直径は3cm程度で自作することにします。 フイルムケースを半分の長さに切断したものに、直径0.8mmのUEWを密着させながら16回巻きました。 また、混信対策として、結合コンデンサーにもポリバリコンを試用することにしました。 結合容量を減らすことで感度の低下、音量の減少によって、聴覚的に混信を軽減させることを期待したものです。 コイルのタップ切り替えは段階的ですが、バリコンの可変では連続的な調整ができます。 結合容量の可変をもって、コイルのタップ切り替えを省略します。

短波ゲルマラジオの内部
内部の様子。ポリバリコンは右側が結合用、左側が同調用です。
短波ゲルマラジオの内部
プッシュ端子を除き、ハンダ付けを終えてからケースに組み込んでいます。

白地のシール
100円均一ショップで売られていた白地のシール。
中波の目盛り板と同じ大きさで、円形に切り抜きます。

試作した短波ゲルマラジオの受信範囲は、3.3〜18.7MHzになりました。 ダイヤルの目盛りは、白地のシールをハサミで円形に切り抜き、目盛りを手書きしています。 このシールは1袋60枚入りで、100円均一ショップで売られていたものです。

短波ゲルマラジオ
短波ゲルマラジオ、意外と楽しめます。

これで就寝時に短波ゲルマラジオが楽しめます

布団の中で操作する短波ゲルマラジオですが、管理人にとっては実に快適です。 自然な寝相でダイヤル操作に集中できます(笑)。

短波ゲルマラジオ
既存の「AM・SW・FMゲルマラジオ」は容量1.2リットル。
今回試作した「短波ゲルマラジオ」の容量は180ml。

短波ゲルマラジオのアンテナには、室内に張った19mのワイヤーアンテナを接続しています。 管理人の受信環境では、特にアースを取らなくても短波が受信できます。 受信できる局は主に5〜10MHz台が多く、昼間は3.925MHz、6.055MHzなどのラジオNIKKEIと海外放送も2、3局受信できました。 夜間は海外放送が5〜8局ほどが受信できます。 チョット残念なのは、中国語や韓国語がたくさん聞こえてくるのですが、意味はまったく理解できません。 それでも音楽番組であれば、ものめずらしくて耳を傾けています。

なお、結合コンデンサーですが、ポリバリコンの容量はやはり大きすぎます。 管理人の環境下では実質、100pF以上は不要だと思いました。 それでもバリコン自体は、混信対策も含めて、音量調節機能があると思えば役に立っています。

ちなみに、この短波ゲルマラジオを試作した2008年12月は、3日間ほど除くと太陽黒点は0だそうです。 このため、短波の遠距離受信にとっては不利なコンディションであり、短波の伝播は近年で最も穏やかな(静かな)状態です。 ゲルマラジオは増幅回路を持ちませんが、黒点が0であっても、複数の海外放送が受信可能であり、フェージングもゲルマラジオには影響が絶大です。 黒点の増減は約11年周期で、これから増加します。 もちろん、ゲルマラジオによる短波受信もより華やかになると思います。